前回の記事で、「すりばち型」の理想の形状とはなにか?そもそも理想な形状はあるのでしょうか?という探究(実験と検証)の結果、すりばち型の理想の形状を探究する上で分かったことは「加工の目的が何か」ということであり、つまりは起こりうる事象すべてに対応できる理想の形状などありませんでした(汗)
と記載しました。
今回は、記載した例について少し掘り下げたいと思います。
前回、『穴のサイズを大きくしすぎることで起こる音色の雑音を押さえたいのであれば、穴を大きくしなくてもよいCの加工を選択します。また、高音レミファを楽な息で出せるようにしたい場合もCの加工を選択します。(レミファの穴に加工します)』このように記載しました。
どういうことでしょう?
下のイラストは、高音の穴を加工しなかった場合(赤い矢印)、B(標準)のすりばち型の場合(ピンク色の矢印)、C(深め)のすりばち型の場合(オレンジ色の矢印)の息のスピード(強さ)についての相関図です。
見て分かるように、穴に加工を施さなかった場合(赤い矢印)は、高音レミファを出すためには、急激に息を強く吹く必要があることが分かります。言い換えれば、『普通(呼吸をするような息)の息』で吹いて正確なレミファは絶対に出せません。
そのため、オカリナの構造を理解していないメーカーが作るオカリナは、高音レミファが出るようにするためには穴を大きくするしか方法がありません。しかし、穴を大きくすると高音レミファが出やすくなるものの音色の雑音もたくさん入ってしまうという現象がおきます。
この音色の雑音を無くし、高音レミファをキレイに出す為にすりばち型の加工がとても大切になります。
つづく